
今回は二重子音について解説します。
二重子音は声調ルールの最も複雑なパターンになります。
あきらめずに何度も繰り返しチャレンジしてみてくださいね。
今回は、二重子音について解説していきます。
二重子音とは、子音が2つまたはそれ以上続く単語のことです。
ここで例題を一つ。
『いつも』という意味の単語 เสมอ はどのように読めばいいでしょうか?
これまでの知識をフル活用して考えてみてください。
まずは、単語を音節に分解します。
เสมอ = เส + มอ
それぞれの音節の声調は
1つ目の音節は、高子音で平音節なので第5声調
2つめの音節は、低子音単独字で平音節なので第1声調
これらを組み合わせると、次のように読めるのではないでしょう。
เสมอ = เส + มอ = sěe mɔɔ
しかし、これは間違いです。
実際は、sàmə̌ə と読むのです。
2重子音のルールにより、このような読み方になるのです。

なぜこんな読み方になるのか、
サッパリわからないなぁ。。。
不思議な読み方ですね。
なぜこんなことになるのかは、これから説明していきます。
一度で理解するのは難しいと思いますので、何度も繰り返し読んでみてくださいね。
二重子音の概要
二重子音とは、どのような子音のことを言うのでしょうか?
まずは二重子音の単語を例にあげてみましょう。
例えば、魚という意味の単語 ปลา は plaa と発音します。
頭にある2つの連続した子音 pl を二重子音といいます。
二重子音には次の2つの種類があります。
- 真性二重子音
- 疑似二重子音(真性二重子音以外の単語)
以下に解説していきます。
真性二重子音
真性二重子音には11種類の音と15種類の文字の組み合わせがあります。
真性二重子音の音の組み合わせ
真性二重子音は、1つ目の子音と2つ目の子音の音のパターンが決まっています。
1つ目の子音の音は k kh p ph t の5種類
2つ目の子音の音は r l w の3種類
となります。
また、1つ目の子音の音によって2つ目にくる子音が決まっています。
- 1つ目の子音 k kh の時、2つ目の子音は r l w の3通り(組み合わせ6通り)
- 1つ目の子音 p ph の時、2つ目の子音は r l の2通り(組み合わせ4通り)
- 1つ目の子音 t の時、2つ目の子音は r の1通り(組み合わせ1通り)
合計11通りの組み合わせをとります。
表にまとめると下記のようになります。
2つ目の文字 | ||||
r | l | w | ||
1つ目の文字 | k kh | kr khr | kl khl | kw khw |
p ph | pr phr | pl phl | ||
t | tr |
全部で11通りの音の組み合わせがありますね。
真性二重子音の文字の組み合わせ
次に文字の組合わせについて見ていきましょう。
それぞれの音に対応する文字は、次の表のようになります。
1つ目の子音 | 2つ目の子音 | ||
---|---|---|---|
音の種類 | タイ文字 | 音の種類 | タイ文字 |
k | ก | r | ร |
kh | ค ข | l | ล |
p | ป | w | ว |
ph | พ ผ | ||
t | ต |
先ほどの音の組み合わせ表と組み合わせると、真性二重子音の文字の組み合わせは下記となります。
2つ目の文字 | ||||
r(ร) | l(ล) | w(ว) | ||
1つ目の文字 | k( ก ) kh( ค ข ) | กร คร ขร | กล คล ขล | กว คว ขว |
p( ป ) ph( พ ผ ) | ปร พร ※ผรはとらない | ปล พล ผล | ||
t( ต ) | ตร |
ผรの組み合わせは無いというルールがありますので
合計15通りの組み合わせが存在します。
真性二重子音の声調ルール
真性二重子音の声調は、1文字目の子音の声調ルールに従います。
例えば、男性が文の最後につける単語 ครับ(クラップ)の声調を確認してみましょう。
- 頭子音のครは真性二重頭子音の組み合わせ
- 真性二重頭子音は1文字目の子音グループの声調ルールに従う
- 1文字目のคは低子音対応字
- 母音 ั は短母音
- 末子音 บ は p と発音する即音節
- 声調記号はついていない
促音節の声調表
なし | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | |
中子音 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | |
高子音 | ![]() | ![]() | |||
低子音(長母音) | ![]() | ![]() | ![]() | ||
低子音(短母音) | ![]() | ![]() | ![]() |
以上の情報から、ครับは第4声調となります。( khráp )

1つの単語を発音するのに
こんなにたくさんのことを考えないといけないなんて。。。🥲
タイ文字の学習を初めたばかりの方は、気が遠くなるかもしれませんね。
初心者のころの僕もそうでした。
でも心配しないでください。
タイ語学習を続けていると、だんだん慣れてきて無意識に正しく読めるようになっていきます!
真性二重子音の発音練習
真性二重子音の単語の発音を確認してみましょう。
ใคร khray 誰
ขวา khwǎa 右
แปลก plɛ̀ɛk 変わった
เตรียม triam 準備する
疑似二重子音
真性二重子音以外にも、子音が連続する単語はたくさんあります。
例えば ตลาด(市場)の読み方を考えてみましょう。
頭に二文字の子音ตลが連続しています。
ただし、真性二重子音のルールではตのうしろにはรがつくというルールでしたね。
このような真性二重子音以外の二重子音を擬似二重子音といいます。
疑似二重子音の読み方
疑似二重子音の読み方には2つのルールがあります。
ルール1
・1文字目の子音に短母音aをつけて発音する。声調は平声。
ルール2
・2文字目の子音が低子音単独字の場合は1文字目の声調ルール
・2文字目の子音が低子音単独字以外の場合は2文字目の子音の声調
このルールを使ってตลาดの読み方を確認してみましょう。
2文字目はลで低子音単独字です。
ルール2から、声調は1文字目の声調ルールになります。
1文字目のตは中子音。
末子音 ด は t と発音しますから促音節。
母音は า (aa)で長母音です。
また、声調記号はついていません。
促音節の声調表
なし | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | |
中子音 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | |
高子音 | ![]() | ![]() | |||
低子音(長母音) | ![]() | ![]() | ![]() | ||
低子音(短母音) | ![]() | ![]() | ![]() |
促音節の声調表から、第2声調 となります。
あとは、ルール1から、頭の子音ตのうしろに短母音のaをつけて読めばOK。
ตลาด talàat 市場
もう一つ疑似二重子音の読み方を確認してみましょう。
最初に出てきた เสมอ はどうやって発音するのでしょうか?
まず頭の文字เは母音記号ですから読み飛ばしておいて次に出てくる子音を確認します。
次の子音は สม 。
ここで子音の連続が登場しました。
ส(s)ม(m) の組み合わせは真性二重子音ではないので、疑似二重子音と判断できます。
2文字目の子音มは、低子音単独字ですから、1文字目の子音の声調ルールに従います。
1文字目のสは高子音なので高子音のルールが適用されます。
次に末子音を確認します。
เสมอには末子音がありませんから平音節です。
母音 เ_อ は長母音で əə と読みます。
声調記号はありません。
平音節の声調表
なし | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | |
中子音 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
高子音 | ![]() | ![]() | ![]() | ||
低子音 | ![]() | ![]() | ![]() |
以上の情報と平音節の声調表から、第5声調 となります。
最後にสのうしろに短母音aをつければOK。
เสมอ samə̌ə いつもの
覚えたての頃は本当に大変です。。
でも慣れてくれば必ず一瞬で読めるようになりますのでがんばりましょう!
疑似二重子音の発音練習
疑似二重子音の単語の発音を確認してみましょう。
สบาย sabaay 気持ちいい
สยาม sayǎam サイアム
แสดง sadɛɛŋ 表現する
ชนะ chaná 勝つ
今回は、二重子音について解説しました。